学習院大学 人文科学研究科 アーカイブス専攻

アーキビストについて

HISTORY日本における
アーキビストの
資格制度

1987年、日本で公文書館法が制定され、国や地方公共団体に対して記録アーカイブズに関して適切な措置をとる責務が課されました。ところが、アーカイブズの活動の中核を担うべき専門職=アーキビストについては、その養成体制が整備されていないことを理由に、「当分の間」は必ずしも配置しなくても良いとされ、現在に至ります。

この間、30年以上もの時が経過しましたが、数多くの人々がその状況を打破する努力を重ねてきました。さらに、2009年に政府提案により制定された公文書管理法では、公文書等を「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」として位置付けるなど、国や社会が記録・アーカイブズに向けるまなざしや期待は大きく変わりつつあります。

2012年には、日本アーカイブズ学会が「登録アーキビスト」の取り組みを始め、優れた専門的な人材を記録の管理やアーカイブズの保存と利用に携わる機関や団体へと送り出すことができるようになりました。

さらに特筆すべきことは、国が公文書館等で活躍する人材の育成を念頭においた公的な認証制度を2020年からスタートさせたことです。この「認証アーキビスト」のしくみのなかで、本専攻はアーキビストとして必要な知識・技能等について大学院修士課程における科目修得によって体系的に修得することができる教育機関として位置づけられています。また、2024年からはそのような知識・技能等を備えた人々を公的に認めることで、大学院修了後の専門人材育成の道筋を示し、その育成環境の充実とアーカイブズ機関での定着を図ることを目的とした「准認証アーキビスト」制度が新たに設けられました。

国や社会の根幹を支える記録・アーカイブズの保存とアクセスの提供に関わる人材の育成が大きく動き始めています。本専攻は関係機関との協力のもと、期待される社会的使命に応えていくことを目指しています。

専攻開設記念誌『記録を守り 記憶を伝える』(2010年3月発行)もご覧ください。

 

ADVANTAGEこの専攻からアーキビストを目指すメリット

博士前期課程における必修科目と1年次標準履修科目の単位を取得することによって、国の認証アーキビストとして必要な知識・技能等について大学院修士課程における科目修得によって体系的に修得すべき要件を満たし、准認証アーキビストとしてのキャリアをスタートできます(*)。さらにアーカイブズに係る調査研究実績を発表することができる媒体として、年に1回発行している研究年報『GCAS Report:学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報』(査読あり)を活用することもできます。
また、本専攻のカリキュラムは日本アーカイブズ学会「登録アーキビスト」の資格申請要件も満たすものになっています(別途1年以上の実務経験が必要)。
*認証アーキビストの要件としては、ほかにアーカイブズ機関における3年以上の実務経験に加えて、論文等の発表によりその調査研究能力が示される必要があります。

 

CAREERアーキビストの活躍する場所

記録情報専門職としてのアーキビストが活躍する場所は国や地方公共団体の公文書館だけではありません。知的資源としてのアーカイブズを生み出すのは人間の営為であり、人と人とが関わり合う場所がアーキビストの職場となります。
専攻の修了生は記録やアーカイブズを広く社会に共有し、将来へ伝えるために活動する企業やNPO法人、大学・研究機関、博物館・美術館、図書館などでの活躍も期待されています。
※「准認証アーキビスト」からスタートし、アーカイブズ機関で一定の実務経験を重ねることで「認証アーキビスト」としての資格も得ることができるほか、日本アーカイブズ学会「登録アーキビスト」への登録も可能となります。

 

アーキビストの活躍する場所

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